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おおきなみなとの日々帖

食、本、冷えとり、味のあるカッコイイ役者さん、嵐さんに甘いけれど、日常がいちばん好き。

ただただ手を動かして作業しよう、感受性をすり減らして。

出勤前の雑になりそうな時間を救ってくれるのが毎朝のラジオです。

www.nhk.or.jp

ラジオ体操のコーナーは、たとえ自分が体操をリアルタイムにしなくてもお弁当と朝ご飯の支度を軽快にさせてくれます。
時事問題を短い時間で簡潔に掘り下げたのや、実用的な交通情報、天気予報を耳にしながら家族と話す朝ご飯は落ち着きながらも出かけようという気持ちにさせてくれます。
ニュース、前日のスポーツ結果を聞き流しながらする水回り掃除はすっかり習慣です。
そして全国各地からの身近なささやかな出来事のお便り(例えば『妻が買ってきた好物の桃を食べるのを楽しみに一日頑張るとします』なんていうご年配の男性からのものだったり)、関東甲信越のローカルニュース、市場情報などを聞きながら身支度する日々の確実さを噛み締められる心地良さは平日朝の何よりの精神安定剤です。

それが今朝は、その心地良さをぶった切って、ニューヨークでの首相の会見なるものをテレビと同じ音声で流していました。
そんなに重要なものなのかと耳を預けていたのだけれども、予想通り、それ以上(以下?)に中味のまったくない、何も生まれない、何も解決しない、言葉とは言い難い単なる音の伝達でした。
朝の貴重な耳時間を返してほしい気持ちになりました。

 

 窓辺に座って、じっとラジオを聞いていたスイセイが、「ラジオいうのんは、きれいな世界じゃの。紙をめくる音とか、息の音とか、ぜんぶ聞こえるんよの。(アナウンサーの)考えることまで声に出るけえ、隠し事がないゆうかの」。

天気予報のお姉さんは、「カミナリ注意報が出ています。落雷や突風、急な大雨に、気をつけてください」と、よくしなる大きな木のような、悠然とした声で言った。

高山なおみ著「今日もいち日、ぶじ日記」より

 

いつものきれいな世界に突如現れた隠し事まみれの音は違和感たっぷり。

 

このいろいろなものが渦巻いている世界の中で、ありとあらゆるものがつながって波と空と風のように押し合い、影響し合い、吸い取り合い、絡み合い、ずっと動き続けているダイナミックな流れの中で、人間にできることはただただ小さな手を動かして作業することだけなのだ。

よしもとばなな著「さきちゃんたちの夜」より

 

手を動かして作業することをすっかり忘れている人間の言葉なんて、誰が真剣に受け止めるのかな。

わたしはわたしで、ただただ手を動かして作業しよう。

 

決まりこと、お金、将来、夢のことなど。子供の頃にも若い頃にも、みんながこぞって、私に教えようとしたこと。「みんなと足並みをそろえ、世の中からはみ出さないようにしなさい」「もっと大きな声で、語尾までハキハキ自信を持って答えなさい」。
でも、本当にそうなの?みんな頭だけで、口の先っぽだけで言っているんじゃないの?
この世界は本当は、誰にもなんにも分からなくて、ゆらゆらしてて、あてどのないものなんじゃあないの?
だから私は、自分でみつけることにした。
迷うし、ぐちゃぐちゃだし、情けないし、しつこいし、どこからどこまでが自分なのかも分からないけれど。目の前にあるものをしっかり見、隣にいる人のことをちゃんと感じ、空気の匂いを嗅ぐ。
そうやって、感受性をすり切れるまで使うことでしか、この世を確かめることなんてできないから。

高山なおみ著「今日もいち日、ぶじ日記」より

 

感受性を思い切りすり減らすことも忘れずに。

今日もいち日、ぶじ日記 (新潮文庫)

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さきちゃんたちの夜 (新潮文庫)

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